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たっちゃん成長日記

たっちゃん成長日記

突然帝王切開

 2005年7月、予定日を5日過ぎた朝4:00。
 鈍い腹痛で目が覚めました。
 痛みは治まったり、またやってきたり。
 時計を見ると、だいだい10分おき。
 陣痛かと思ったけれど、陣痛ってもっと痛いものだと思っていたので、そのまま朝まで様子を見ていました。
 その間も、痛みは10分おきにやってきます。
 7:00
 産院に電話をして、痛みが10分間隔であること、生理痛より少し痛いかなくらいであることを告げると、診察時間に来てくださいと言われました。
 きっと、まだ本当の陣痛じゃないから、一旦帰りなさいって言われると思い、一応入院の準備を主人に預けて、9:00産院に行きました。
 もしそのままお産に入っても、どうせ一日がかりだから、後で持ってきてもらっても間に合うと思っていたのです。
 
 産院に行ってすぐ、ノンストレステストを受けました。
 なんだかいつもより心拍が弱いなぁ、と思いながらも、それでものんきに構えていると、子宮収縮が起き、そのとたん胎児の心拍が急に弱くなったのです。
 アラームが鳴って、看護士さんが飛んできました。
 しばらくすると、また心拍は戻ります。
 8分位してまた陣痛が来ると、また心拍の低下。
 またアラームが鳴ったので、今度は自分でナースコールをしました。
 
 ノンストレステストを終えて、それでもまだのんきに待っていると、診察室に呼ばれました。
 担当の先生ではなく、もう一人の先生に呼ばれたので、なんか変だなとは思ったのですが、まあ、忙しいのかな、くらいにしか思わなかったのです。
 ところが、そこでとんでもないことを聞かされてしまうのです。
「陣痛のたびに赤ちゃんの心拍が弱くなってしまい、危険なので帝王切開ですぐに出した方がいい。お産まで10何時間もかかるのに、このまま子宮口が開くまで待ってたら、赤ちゃんが危ない」
 ええ~~~!! なんですとぉ??
 なんでも、陣痛のたびに臍帯が圧迫されて、そのため心拍が落ちてしまうと言うのだ。
 やっと妊娠したのに、最後の最後でいきなりこれ?
 やっと妊娠したのに、最後の最後でお別れしちゃうかもしれないって、どういうこと?
 え~? え~? え~?
 頭が混乱したまま、準備ができ次第、手術をすることになってしまいました。

 私が通っていた産院は、ソフロロジー式分娩法を取り入れていました。
 ソフロロジー式は、陣痛の痛みを、赤ちゃんと一緒にお産をするのだと言うプラスのエネルギーとして捉え、お産をスムーズに進めていく方法です。
 だから私もそのつもりで、毎晩イメージトレーニングをやっていました。
 前の晩も、いつもどおりにやっていたのです。
 それなのに、いきなり帝王切開とは・・・

 まずLDR室に通されて、ノンストレステストや、薬に対するアレルギー反応を見る注射や採血をされました。
 やっぱり、陣痛のたびに心拍が落ちます。
 看護士さんが「赤ちゃん頑張れ」と声を掛けてくれます。
 主人に電話をして、帝王切開になったから、荷物を持ってすぐに来て欲しいと告げると、向こうでなんだかきょとんとした返事が返ってきました。
 それはそうだろう。
 朝、のんきに、「きっと一度家に帰りなさい、って言われるよ」なんて言っていたのに、いきなり帝王切開になったからすぐに来てとは。
 まったく想定していなかったはずです。

 結局、手術の時間に主人は間に合わず、一人で帝王切開に臨むことになりました。
 麻酔を掛けられ、数を数えるように言われます。
 17まで数えたところで、意識が無くなりました。

 そして、10:11、赤ちゃんは取り上げられました。
 全身麻酔だったため、産声を聞くことも、カンガルーケアをさせてもらうこともなく、私の子供は生まれたのです。

 麻酔から醒めてもまだぼんやりしているところに、人の話し声が聴こえてきます。
 どうやら主人と主人の両親がいる様子。
 どこからが夢で、どこからが現実なのかわからない状態で、それでも私は主人に話しかけました。
「赤ちゃんは? 生きてる?」
「元気だよ」
 とてもとても元気よく泣いたそうです。
 ほっとしました。

 でも、朝一番で病院に来てよかった。
 もしも、あのまま放っておいて、午後からにしようと思っていたら、それこそ取り返しのつかないことになっていたのですから。

 夕方になって、看護士さんが子供を連れてきてくれました。
 なんだか変な感じがしました。
 確かに朝まで、お腹は大きくて、子供はその中にいたのに、そのお腹は小さくなって、中身は今目の前にいるのです。
 眠っている間に取り出されたので、自分で生んだ実感がありません。
 ああ、楽しちゃったな、って言うのが、最初の感想。
 でも、お腹の傷が痛いから、ある意味で「お腹を痛めて生んだ」のかな。

 寝たままで抱っこすると、何もかもが小さくて本当にびっくりします。
 頭も手も足も、本当に小さい。
 この小さい手足が、私のお腹の中で暴れていたのかと思うと、不思議な感じがします。
 それにしても、どうして臍帯が圧迫されるようなことになったのか。
 急いで出てこようとでも思ったのだろうか。
 なんせ、マイペースな子だから。
 など、いろいろ考えたりしました。

 なんにせよ、こうしてたっちゃんの人生は始まったのです。


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